方向音痴な言説

地図・ナビゲーションにまつわる俗説を取り上げます

「女は地図が読めない」と言いたがる人、論理と感情、そして土星探査機カッシーニ

2000年に『話を聞かない男、地図が読めない女』というトンデモ本が日本で発売されて以来、2024年現在に至るまで「女は地図が読めない」と信じ続けている人は大勢います。初期消火に失敗して広まった俗説は何十年も残り続けるものです。 「女は地図が読めない…

ベストカーWeb記事”超わかりにくくね!? オジさんはなぜナビをノースアップにするのか問題”への反響を見る

『ベストカーWeb』2022年6月11日付記事をきっかけに、カーナビの「ノースアップ/ヘディングアップ」問題が取り沙汰されているようです。 ・超わかりにくくね!? オジさんはなぜナビをノースアップにするのか問題 https://bestcarweb.jp/feature/column/42995…

人間の空間認識能力は低いが、地図は読める

関連過去記事地図を読むには、空間認識能力より言語能力の方がはるかに大事 空間認識能力とは、物の形状、位置、大きさ、形状、距離などを立体的に把握する能力のことです。そして、空間認識能力と地図読み能力は過剰に結び付けられています。 しかし、地図…

男脳と女脳(3) − 男は問題解決、女は共感という俗説は、なぜ人口に膾炙し続けるのか

関連過去記事 男脳と女脳(1) − そもそも無意味な分類ではないか 男脳と女脳(2) − 怪しい本の見分け方 当ブログは、もともと地図・ナビゲーションにまつわる俗説のおかしさを指摘する目的で立ち上げました。一方、地図・ナビゲーション関連の俗説の出火元であ…

ブログ移転のお知らせ

2011年より、はてなダイアリーにおいて当ブログ『方向音痴な言説』を運営してまいりましたが、2019年春に、はてなダイアリーサービスは終了予定となりました。詳細は下記リンク先に書いてあります。 つきましては、本日2018年10月19日をもちまして、はてなダ…

全く地図を読めない人のための、独学地図読み上達講座

地図読み初心者が上達したければ、指導実績のある上級者に直接教えてもらうのが最も効率的です。指導実績のある上級者であれば、指導対象者の習熟度に応じた適切な課題を選び、上手に教えてくれるものです。しかし、身近にそんな人はなかなか見つからないの…

山岳誌『山と渓谷』、「地図を回す人は地図が読めない」という俗説を否定

当ブログでは、 地図を進行方向に合わせて回す人は、方向音痴で地図が読めない という俗説を否定する記事を何度か書いてきました。例えば、以下の記事がそうです。 地図を正置(整置)してみよう! 地図をクルクル回す人は、なぜバカにされるのか? 『所さん…

『話を聞かない男、地図が読めない女』 (6) − 新装版発売

関連過去記事 『話を聞かない男、地図が読めない女』 (1) − 影響力の絶大さ 『話を聞かない男、地図が読めない女』 (2) − 男脳・女脳テスト 『話を聞かない男、地図が読めない女』 (3) − 男は狩りをしない 『話を聞かない男、地図が読めない女』 (4)…

心的回転(メンタルローテーション)の日常例

当ブログには、「心的回転 日常例」ないしは類似のキーワード検索にて訪問してくる人がそこそこいます。この手のキーワードで検索してきたあなたは、心理学のレポートを書いている学生さんですね? 心的回転の日常例を挙げよとの課題を出されて大変でしょう…

常に方角を意識すれば方角がわかるようになるか?

過去記事東西南北な人、前後左右な人の続きです。 京都・大阪・神戸・名古屋など、東西南北が容易に分かる地域に住んでいる人は、場所を説明する時、方位で表現することを好みます。しかし、他地方に行ってもすぐに方角が分かるわけではないし、見知らぬ土地…

男は方角と距離に基づいたナビゲーションが苦手(3)−八甲田山雪中行軍大量遭難死事件

関連過去記事 男は方角と距離に基づいたナビゲーションが苦手(1)−方角と距離に基づくナビゲーションはどうやるか 男は方角と距離に基づいたナビゲーションが苦手(2)−リングワンダリングの恐怖 1902年1月、日露戦争を想定した寒冷地軍事調査目的で雪中行軍し…

男は方角と距離に基づいたナビゲーションが苦手(2)−リングワンダリングの恐怖

関連過去記事 男は方角と距離に基づいたナビゲーションが苦手(1)−方角と距離に基づくナビゲーションはどうやるか フィールド上で視界が利かない時やこれといった特徴物がない時、まっすぐ進むことができずに円を描いて元の場所に戻ってしまうリングワンダリ…

男は方角と距離に基づいたナビゲーションが苦手(1)−方角と距離に基づくナビゲーションはどうやるか

私事になりますが、このところたて続けに「男は方角と距離に基づいたナビゲーションを得意とし、目印に頼ると迷いやすくなる」という俗説を信じている人に会いました。そして、いったん俗説を信じてしまった人を説得するのがいかに困難か痛感しました。信じ…

『はなまるマーケット』方向音痴克服法 − 前半トンデモ後半マトモ、激しすぎるコントラスト

2013年10月7日、TBS系列のテレビ番組『はなまるマーケット』内のコーナーで、「方向音痴克服法」の企画が放送されました。詳しい内容は、下記リンク先で読むことができます。 ・七転八起 [はなまるマーケット] 方向音痴 克服法 10月7日 地図アプリ Map Fan e…

奈良県・薊岳付近での道迷い遭難

既にかなり報道されていますが、2012年8月13日、奈良県明神平に登った中学生10名、引率教諭2名、計12名のパーティが道迷い遭難し、翌14日、薊岳付近で発見され、無事全員が下山しました。 ニュース記事をリンクしておきます。 ・ 朝日新聞関西 奈良・明神平…

『あさイチ スゴ技Q もう迷わない!方向オンチ克服法』 − 良番組だが気になる点も

2012年7月24日、NHK総合『あさイチ』で、方向オンチ克服法が特集されました。 放送内容については、番組公式ホームページ上で確認できます。 ・『あさイチ』公式ホームページより スゴ技Q もう迷わない!方向オンチ克服法 http://www.nhk.or.jp/asaichi/20…

『所さんの目がテン! 方向音痴特集』(4) − メンタルローテーションの過大評価

関連過去記事 『所さんの目がテン! 方向音痴特集』(1) − 内容要約 『所さんの目がテン! 方向音痴特集』(2) − 目印は大事 『所さんの目がテン! 方向音痴特集』(3) − 番組内の実験について 番組内容の要約は、第1回記事を参照してください。以下、番組内容…

『所さんの目がテン! 方向音痴特集』(3) − 番組内の実験について

※このエントリを書いている3月2日時点で、当該番組がまだ放送されていない地域があります。以下ネタバレを含む記述なので、番組を未見の人はご注意ください。 関連過去記事 『所さんの目がテン! 方向音痴特集』(1) − 内容要約 『所さんの目がテン! 方向音…

『所さんの目がテン! 方向音痴特集』(2) − 目印は大事

※このエントリを書いている2月28日時点で、当該番組がまだ放送されていない地域があります。以下ネタバレを含む記述なので、番組を未見の人はご注意ください。 番組公式ホームページが更新されていました。該当放送分をリンクしておきます。 ・所さんの目が…

『所さんの目がテン! 方向音痴特集』(1) − 内容要約

2012年2月18日、日本テレビ系列において、『所さんの目がテン! 方向音痴特集』が本放送されました。放送日時は地域局によって異なり、このエントリを書いている2月26日現在、まだ放送されていない地域もあります。 番組内容の概要は、下記リンク先で見るこ…

カーナビが普及したので地図を読めない若者が増えた?

※ このエントリで使用する用語の定義は以下の通りです。 地図 : 道路地図のこと 地図を読む : 道路地図を使って目的地に行くこと 若者 : 16歳〜29歳の人 カーナビが普及したので、地図を読めない若者が増えた よく聞く言説です。 この言説の致命的な点は…

若者が地図を読めないのは当たり前

※ このエントリで使用する用語の定義は以下の通りです。 地図 : 道路地図のこと 地図を読む : 道路地図を使って目的地に行くこと 若者 : 16歳〜29歳の人 地図を読めない若者がいたら、十中八九、ただの経験値不足だと見てよいでしょう。地図読み歴30年以…

人はいつから地図を読むようになったのか?

※ このエントリで使用する用語の定義は以下の通りです。 地図 : 道路地図のこと 地図を読む : 道路地図を使って目的地に行くこと 一般人 : 道路地図を読むことを必要とされる職業に従事していない人 また、このエントリ内容は、日本国における状況を書い…

低体温症への理解を深めるのに有益な書籍・ウェブサイト

冬季に登山する人なら、たとえ低山にしか登らなくても、低体温症について知っておくべきでしょう。 また、山で行動するために必要とされる知識・技術の多くは、都市災害時にすぐ応用が利きます。特に野外活動をしない人でも、知っておけば、緊急時に役立つか…

全く地図を読めない人が、突然地図を読めるようになることはあるか?

それまでカナヅチだった人が初めて泳げるようになる瞬間、自転車に乗れなかった人が初めて乗れるようになる瞬間――そこには、不連続的な飛躍があります。しかも、一度習得した技能は保持されます。自分はどうして、今までこんな簡単なことが出来なかったのだ…

地図をクルクル回す人は、なぜバカにされるのか?

※ このエントリは、地図を正置(整置)してみよう!をお読みいただいたという前提で書いています。 地図を進行方向に合わせて回す人は、方向音痴で地図が読めない こんな俗説を聞いたことのある人は多いでしょう。人前で地図を回しながら読んで、バカにされ…

なぜ信じてしまうのか?

これまで、地図読み・ナビゲーションにまつわる様々な俗説を見てきました。それらの中には、「男は距離と方角で指示すると迷いにくいが、目印で指示すると迷いやすい」みたいに、少し考えただけですぐにおかしいと気付くような話も含まれているにもかかわら…

『NHKスペシャル 女と男』(4) − ナビゲーションと古人類学と

関連過去記事 『NHKスペシャル 女と男』(1) − 概要 『NHKスペシャル 女と男』(2) − 内容要約 『NHKスペシャル 女と男』(3) − 方角・距離・目印 番組中の地図読み・ナビゲーション関連部分の要約は、第2回記事を参照してください。以下、番組内容からの抜粋は…

『NHKスペシャル 女と男』(3) − 方角・距離・目印

関連過去記事 『NHKスペシャル 女と男』(1) − 概要 『NHKスペシャル 女と男』(2) − 内容要約 番組中の地図読み・ナビゲーション関連部分の要約は、前回記事を参照してください。以下、番組内容からの抜粋は青字で記載します。 地図読み・ナビゲーション関連…

『NHKスペシャル 女と男』(2) − 内容要約

関連過去記事 『NHKスペシャル 女と男』(1) − 概要 『NHKスペシャル 女と男』の地図読み・ナビゲーション関連部分は、前回記事の最後二つのリンク先に詳述されていますが、確認を兼ねて、番組内容を青字で要約しておきます。 カナダ・レスブリッジ大学のデボ…