方向音痴な言説

地図・ナビゲーションにまつわる俗説を取り上げます

地図を正置(整置)してみよう!

 地図を読む際、地図の向きを現地の実際の方向に合わせることを「正置(整置)」といいます。以下、表記を「正置」に統一します。
 カーナビ画面の初期設定は、車の向きが変わるにつれ地図も回転する、いわゆる「ヘッドアップ(ヘディングアップ)方式」になっています。この「地図グルグル」こそが正置です。なお、車が向きを変えても地図が回転しない方式を「ノースアップ」といいます。カーナビでは両者の切り換えが可能です。
 ノースアップよりヘッドアップの方がメモリ容量を食う上に消費電力も多いのですが、それでもヘッドアップを初期設定にしているのは、高速で移動する車を運転しながらでも素早く正確に進路を把握できるからです。
 素早く正確な判断を下すには、地図の正置は欠かせません。 

 まずは、下記のリンク先をご覧ください。 

NPO法人M-nopのウェブページより 机上読図問題 問1
http://www.m-nop.com/topics/navigationtext/q1/  

・ 同上 机上読図問題 問5
http://www.m-nop.com/topics/navigationtext/q5/  

 地図読みの訓練は、現地で実際の風景を見ながら実施するのがベストですが、上記リンク先では、机上学習用に写真判定問題にアレンジしています。問1は、風景から読み取れるランドマーク(特徴的な地形など)を地図と対応させる訓練に、問5は、ランドマークの相対的な位置関係から現在地を正確に割り出す訓練に該当します。
 どちらの問題も、写真に対して地図が正置してあることに注意。現地訓練では、もちろん実際の風景に合わせて地図を回して正置します。上記2つの問題を見れば、なぜ正置が重要なのかは一目瞭然、余計な解説は不要かも。原理的には正置しなくても地図読みは可能ですが、徒に判断ミスを招くだけだということは理解できるでしょう。正置せずに北を上にしたままでは、どれほど判断しにくいか想像してみてください。 

 正置には、絶対的正置と相対的正置の2種類があり、状況に応じて使い分けます。 

  • 絶対的正置 : コンパスを使って地図の向きを実際の向きに合わせる。
  • 相対的正置 : 周囲の風景に合うように地図を回す。 

 一般には、相対的正置の方が熟練者向きだといわれます。相対的正置をするには、 

  • 現在地が分かっている。
  • 周囲の風景と地図との対応関係が分かっている。 

の2条件が必要ですが、絶対的正置は、それらが分かっていなくてもできるからです。
 慣れてくれば、踏み跡の無い山中でも、ある程度以上の視界があれば、コンパスはあくまでも念のための確認用補助として使うのみで(つまり、事実上コンパスは使用していないに等しい)、相対的正置だけでルート判断ができます。もちろん、視界が限定されれば、コンパスを多用します。 

 なお、方角というものは360度方向ですが、単に東西南北の4方向だけなら、相対的正置をすればコンパス以上に正確に分かります(コンパスと違って磁北−真北補正の必要がないので)。相対的正置がきちんとできていれば、地図の向きと実際の風景の向きが一致しますから、地図の縦辺方向が南北、横辺方向が東西を示します。カーナビのヘッドアップモードであれば、大抵の機種で、画面上にコンパスマークが表示されますから、それを水平方向に投影すれば方角が分かります。 

 さあ、方向音痴な言説11項目のうち、どれとどれがダメかは、もう、分かりますね?