ニセ物の宝石が氾濫する世の中で宝石鑑定眼を養うためには、まず本物の宝石を見ておく必要があります。本物と比べてニセ物がいかにチャチで安っぽいか、よくわかります。
日本の山岳読図界の二大巨頭といえば、村越真(むらこし・しん)氏と平塚晶人(ひらつか・あきひと)氏です。読図関連の本はほとんどこの二人の著書で占められる上に、二人とも山岳・アウトドア雑誌によく登場するので、知らないようではモグリとすらいえます。
そんなお二人の著作の中からおススメの本を、参考書と問題集を一人につき2冊ずつ紹介しておきます。「道路地図なら読めるんだけど、等高線を見てもよくわからなくて......」という人を対象に、ステップアップ順にピックアップしてみました。
1. 『入門講座 2万5000分の1地図の読み方』
平塚 晶人 著 小学館
参考書&問題集。
1998年に出版された古い本ですが、今なおテキストとして使われ続けている名著。
別冊地図を問題集として、書き込みながら読図の基礎が学べます。
写真を一切使用していないので、一見とっつきにくそうですが、ここで紹介する4冊の中では、最初に読んでおくのがベストです。
2. 『山岳地図の読み方・使い方』
村越 真、宮内 佐季子 共著 エイ出版社
参考書。
村越氏の参考書を1冊だけセレクトするのは悩みどころですが、出版日が比較的新しい(2008年)本書を選んでみました。基礎から応用・実践、GPS活用まで幅広く網羅しています。カラー写真や図表をふんだんに使っているので、とっつきにくい印象は受けないはず。宮内佐季子氏との共著。
3. 『山岳地形と読図』
平塚 晶人 著 山と溪谷社
参考書。
先に挙げた『山岳地図の読み方・使い方』とどちらを先に読んでもいいでしょう。ナビゲーション全般にわたる網羅的な解説をする村越氏に対し、平塚氏はあくまでも地図読みに集中する印象を受けます。
最初に紹介した『入門講座 2万5000分の1地図の読み方』と違い、本も薄く、カラー写真をたくさん掲載しているので、一見こちらの方が易しそうに見えますが、『入門講座〜』を読んでいないと理解は難しいはず。
4. 『最新読図ワークブック』
村越 真、宮内 佐季子 共著 山と渓谷社
問題集。
最後は、問題集に挑戦して、どれだけ実力がついたか確認したいものです。
写真判定問題を多数収録しています。地図が読めない人は、風景と地図とを対応させることが苦手ですから、本書の写真判定問題をこなせるようになれば、相当レベルアップしたことになります。
この問題集に取り組むのは、最低限、最初に挙げた『入門講座 2万5000分の1地図の読み方』を読了してからにすること。でないと、冒頭の「腕試し問題」で、いきなり挫折すること必至です。
宮内佐季子氏との共著。
なお、地図読みは、机上学習だけでもかなり上達しますが、最終的には、実際に現地でどれだけ地図と風景を対応させ、ルート判断する訓練をしたかが決め手となります。その点は、村越氏も平塚氏もしっかり強調しています。