方向音痴な言説

地図・ナビゲーションにまつわる俗説を取り上げます

人はいつから地図を読むようになったのか?

※ このエントリで使用する用語の定義は以下の通りです。
  地図 : 道路地図のこと
  地図を読む : 道路地図を使って目的地に行くこと
  一般人 : 道路地図を読むことを必要とされる職業に従事していない人
 また、このエントリ内容は、日本国における状況を書いています。


 人間は、もともと地図を読むようにはできていません。長い人類の歴史の中で、人が地図を読むようになったのはごく最近のことです。
 かつては、記憶頼りのナビゲーションが主流でした。自分がよく行く場所を記憶し、知らない場所へ行くときは案内人をつける(他人の記憶に頼る)のが普通だったわけです。
 では、いつ頃から一般人も地図を読むようになったのでしょうか?

 道路網の整備が進んだのは、1964年に開催された東京オリンピックがきっかけだと言われています。1960年代前半までは、自動車を所有するのは一部の裕福層に限られていましたが、1960年代後半以降、急速に普及が進みます。下記リンク先が参考になります。 

・財団法人 自動車検査登録情報協会のウェブペーシより
 自動車保有台数の推移 (PDF形式)
http://www.airia.or.jp/number/pdf/03_1.pdf 

 1970年代前半までは、自動車の使用は、主に固定ルートを走るのに限定されていたものと思われます。しかし、自動車の普及と道路網の整備により、知らない場所に出かけたり、遠出をしたりする機会も増えてきたでしょう。もはや、記憶頼りのナビゲーションでは追いつきません。この頃から、地図が読める一般人が増えてきたのではないかと推測されます。それまでは、ほとんどの一般人は地図なんぞ読めませんでした。
 現在では各地に点在する「道の駅」は、1990年代になってから設置が始まりました。長距離ドライブが普通化したことが背景になっています。