方向音痴な言説

地図・ナビゲーションにまつわる俗説を取り上げます

2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「地図が読めるようにならない」教材 − 悪用されるメンタルローテーション・テスト

前回の記事では、ちゃんと地図が読めるようになる教材や講習を紹介しましたが、一方で、「地図が読めるようになる」ことを謳い文句にしながら、どう見ても地図が読めるようにはならない教材も存在します。こうした教材は、主として営利目的の能力開発教室が…

「地図が読めるようになる」教材や講習って、どんなの?

「地図が読めるようになる」教材であれば、こちらで紹介した本があります。きちんと読み込めば、地図を読む能力が大幅に向上すること請け合いです。 また、各地で様々な読図講習会が開催されています。きっちりカリキュラムを組んだ本格的なものもあれば、趣…

メンタルローテーション(心的回転)テストの成績が悪いと、地図が読めない?

地図を読むにあたって、コンパスの使いこなし術の習得は必須です。見方を変えれば、人間の方角・方向に関する感覚は不正確だという暗黙の大前提があるわけです。感覚だけで方角・方向が正確にわかるのなら、コンパスなど要りません。 このように、人間の能力…

メンタルローテーション(心的回転)って、何?

物体を回転させるとどのように見えるかを、頭の中だけで判断する能力のことを、メンタルローテーション(心的回転)といいます。メンタルローテーションに関しては、下記リンク先がわかりやすくまとまっています。・金沢学院国際文化学科のウェブページより …

山岳読図界の二大巨頭

ニセ物の宝石が氾濫する世の中で宝石鑑定眼を養うためには、まず本物の宝石を見ておく必要があります。本物と比べてニセ物がいかにチャチで安っぽいか、よくわかります。 日本の山岳読図界の二大巨頭といえば、村越真(むらこし・しん)氏と平塚晶人(ひらつ…

男脳と女脳(2) − 怪しい本の見分け方

前回の記事の続きです。 前回取り上げたバロン=コーエンの『共感する女脳、システム化する男脳』は、まだしも学術本風に書かれていましたが、「男脳・女脳」について書かれた本の大部分は、学術の体裁など為していない怪しげな自己啓発本です。この手の本は…

男脳と女脳(1) − そもそも無意味な分類ではないか

拙ブログで取り扱う話題は、極力、地図読み・ナビゲーション関連に絞るつもりですが、方向音痴な言説を論ずる際に、「男脳・女脳(男性脳・女性脳)説」は避けて通れません。当然ながら、私は神経科学分野の専門知識は持ち合わせていないので、(専門知識の…

インチキ脳科学について

拙ブログは、巷に出回っている地図読み・ナビゲーションに関するニセ科学的俗説のおかしさを指摘するために立ち上げました。これまでの記事は、本丸に攻め込む前に、まず外堀をちまちま埋め立ててきたといったところです。これからは、内堀も埋めてしまいま…

地図には、ほとんど距離と方角の情報しか記載されていない?

方向音痴な言説11項目のうち、 10. 地図には、ほとんど距離と方角の情報しか記載されていない。は、あまりにも初歩的かつ致命的な誤りです。さすがにこれは、瞬時に見破れないようでは困ります。こんな間違いを平気で言うような人は、地図の読み方が全くわか…

地図が読めない人は、地図を俯瞰的に把握している

*このエントリでは、一般〜初級を「地図が読めない人」、中級〜上級を「地図が読める人」と定義します。一般・初級・中級・上級の定義は、「地図が読める人」って、どんな人?を参照してください。 地名表示板に書かれた地名を地図上で探させる課題を与えれ…

地図を読むには、空間認識能力より言語能力の方がはるかに大事

空間認識能力とは、物の形状、位置、大きさ、距離などを立体的に把握する能力のことです。要するに単純能力であり、小鳥の脳味噌にも具わっています。 障害物を巧みに避けながら、不規則な飛跡を描く昆虫を空中で捕獲するツバメや、屈折率の異なる水中の小魚…